大切なものをその目で見つけて

普通じゃないことが普通に起こる、ということはすでに普通じゃないということ。例えば、片思いのまま一方的に恋愛だと思い込み、相手の知らない間に結婚の準備を始めてしまうこと。ありえないでしょう。ありえないけれど、ありえるんですね。

ネット上で知り合った、顔も声も知らない者同士が、お互いを親友だとか恋人だとか、そう思い込んでしまう世の中ですから。その、ね、気が合ったり好きになるのは構わないと思うんですよ。ただ、自分の中でもルールを設けてほしいというか、しっかりするところはしっかりしてほしいわけです。じゃなきゃ、簡単なところですべてが完結してしまい、本物を知らない人が増えてしまいますから。

インターネットを介したディスプレイの向こうには生身の人間がいるのですが、それが本物の人間である保証はどこにもありません。だからといって、常識をわきまえない無礼な行いは慎みましょう。相手の抱いたバーチャルでないリアリティの怒りが殺意に変わり、リセットの効かない大切な命を落とす羽目になっても、その責任は誰に問うことができましょうか。

ネットでの出来事をバーチャルと捉えると痛い目に遭います。しかし、すべてをネットで済まそうとするのは危険だということです。ネットは、電話と同じ通信手段に他ならないのです。

最近ではチャットでしか話すことのなくなったあの友達。メールだけでなく、たまには手紙を書いてみましょう。そして、何年かぶりに会ってみましょう。食事でもして、やっぱり箸の持ち方が下手なのは変わっていないねって、笑ってあげましょう。メールやチャットではわからない温かい心とか、いっぱい見えてくるでしょう。いっぱい、いっぱい。大切なものをその目でいっぱい見つけて、宝物にしてください。